ことばの錯覚

拮抗する複数の住人のための覚書(小鷹研理)

「気持ちいい」と「気持ちわるい」の錯覚論、メディアアートとの対話(谷口暁彦・水野勝仁・小鷹研理、2020)

はじめに 2020年11月27日より3日間にわたって、 ナディアパーク内の3つの会場を舞台に、 小鷹研究室による「からだの錯覚」に関する展示(展示名:名古屋電映博2020 注文の多い「からだの錯覚」の研究室展 [LINK]) を実施した。 コロナ禍の状況ではあったが…

『Merge Nodes』(Joe Hamilton、2016) [2 / N]

ディスプレイ内部に醸成される「過剰な現実」 はじめに、ある空間の放つ訴求力について 下の8つの画像(S1 - S8)は、Joe Hamiltonの『Merge Nodes』の約3分間の時間の中でも、個人的に、体感として最も直接的に強く"えぐられた"と感じた場面の時間推移に対…

『Merge Nodes』(Joe Hamilton、2016) [1 / N]

Merge Nodes from Joe Hamilton on Vimeo. 「主空間」の座をめぐる闘争、奥行きの階層、「透明な支持体」の破れ Joe Hamiltonの『Merge Nodes』、前々から気になっていたのだけれど、実写映像を扱ったポストインターネット系の作品体験の異質さとしては、あ…

『address』(谷口暁彦、2018、展示「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」より)

水戸芸術館|美術|ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて 一見すると、単なるモザイグ画のようにみえる。けれど、少しでもその場に留まれば、「単なるモザイク画」という言葉で済ませてしまうには、あまりに手強い緊張が走っていることに気づく…

『インタビュー中に跳ぶ奴』(ジャルジャル、2018)

www.youtube.com 試合で重要なヘディングゴールを決めたと思われるサッカー選手(福徳)と、その選手からコメントを引き出そうとするインタビュア(後藤)、スポーツの試合終了後の典型的なヒーローインタビューのやりとり。 後藤「素晴らしいゴールでしたね…

『jump from』(谷口暁彦、2017、展示「超・いま・ここ」より)

okikata.org ようやく落ち着けたので、昨日の谷口さんの展示のこと。『jump from』の体験が突出して強烈だった。あそこで試みられていたのは、「現在」と「過去」の往復というよりも、「自分」と「(自分)」(←括弧つきの自分)の往復だった、というほうが…

『変な奴』(ジャルジャル、2009)

コミュニケーションの自明性を抉られる体験といえば、、ジャルジャルのいくつかのコント(歌手志望でレコード会社に押しかけて歌わないやつとか)は、日常と地続きのところで『<あえて>(=制度化された虚構)の外部』を召喚している点で、やっぱり秀逸だ…

『Walking Through』(田中功起、2009)

vimeo.com twilog.org 田中功起氏の「walking through」を55分間見通したうえで感じたことを短時間でメモする試み http://vimeo.com/35412409 日常というフレームを崩さないままに、その中から物理法則のレイヤーが迫り出してくる感じ。つまり、科学の実験映…

『三月の5日間 リクリエーション』(チェルフィッチュ、2018)

chelfitsch.net 無意識空間を無作法に横断する複数の住人たち。それぞれの嗜好を持ち、それぞれの時間軸を内包し、それぞれの視点から世界を眺める。似ているものもあれば、相反するものもある。お互いがお互いに直接的なかたちで干渉することもなく、それぞ…